
中国の不動産大手である中国恒大集団の経営危機が、世界の市場に波紋を広げている。危機が連鎖することがないよう、中国政府には適切な対処を求めたい。
恒大は1996年創業で、多額の借金をしながらマンションを開発し、大量販売することで急成長した。さらに、ミネラルウォーターや電気自動車(EV)の事業などに乗り出し、サッカークラブの親会社にもなっている。
しかし、過剰な債務が重荷となって業績が悪化していた。拡大路線が行き詰まったことで、資金繰りが難しくなっている。
負債総額は約33兆円に達しているという。経営破綻すると、中国経済への影響は甚大だ。
マンションの建設を請け負った施工業者が代金を回収できなくなり、連鎖破綻する恐れがある。販売済みの物件の引き渡しが滞ることも想定される。
広東省深セン市にある恒大の本社には、多数の投資家が抗議に押しかけているとされ、社会不安につながりかねない。
世界第2位の規模を持つ大国の経済が揺らぐ事態となれば、日本を含めた世界経済への打撃は避けられないだろう。
恒大の経営危機を引き金に、世界の株式市場に動揺が生じた。20日には恒大が上場する香港市場を始め、米国や欧州で株価が軒並み大きく下落した。東京市場でも21日、日経平均株価が2週間ぶりに3万円を下回った。
もともと世界の株価は、金融緩和による金余りを背景に高値水準にある。何らかのショックで急落するリスクが高まっている。
恒大は順次、社債の利払い期限を迎えるという。債務不履行により、再び市場に異変が起きる懸念がある。各国の金融当局は警戒を強めるべきだ。
中国政府は、改革開放路線の下で恒大の野放図な事業拡大を放置してきたが、不動産価格の高騰が社会問題になり、方針を転換した。金融機関による不動産融資の総量規制などに乗り出している。
急激な引き締めで危機を広げないよう、中国政府には慎重かつ、冷静な対応が望まれる。
習近平国家主席は、貧富の格差を縮小する「共同富裕」をスローガンに掲げている。不動産価格の抑制が優先課題で、恒大の救済に消極的だとの見方があるが、どう対処するかははっきりしない。
そうした政策の不透明さが、市場に不安を与えていることを習政権は認識する必要がある。
不動産経営危機 世界の市場に混乱を広げるな - 読売新聞
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