百貨店各社の2022年正月向けおせち商戦が始まった。コロナ禍で自粛生活が長引くなか、旅行気分が味わえるおせちや取り分け不要の個食おせちが増え、世相が色濃く表れた。スイーツだけを詰めるなど、複数買いを狙った商品も目立つ。家で過ごす「おうち時間」の増加で、昨年のおせち需要は急拡大した。主要各店は今年も昨年以上の売り上げを見込んでいる。(坂田奈央)
◆祝い事は調子いい
コロナ禍で初の正月となった21年は、外出自粛に加え、冷凍技術の発達でおせちの提供数が増えたことで、多くの百貨店が売り上げを伸ばした。この流れが続き、来年向けはさらに伸びると各店は見通す。「コロナ禍でも祝い事など行事ものは調子がいい」(百貨店関係者)ことが背景にある。
日本橋高島屋(東京都中央区)は、前年比で約2割伸ばした今年向けから、さらに8%増を見込む。品ぞろえは前年に続いて約1150種。感染予防の観点で需要が高い個食おせちは、前年より商品を約3割増やしたという。
またスペイン料理やドイツ料理のおせちで海外旅行気分も提供。家族で楽しめるよう知育かるた付きの「47都道府県おせち」も用意し、各地の料理を食べながら人口や面積などを学べる。ケーキやマカロンで埋め尽くした「スイーツおせち」にも力を入れた。
「普段より豪華なおせちを楽しみたい」―。松屋銀座(中央区)が8月に実施したメールマガジン会員向けのアンケートでこんな声が多かった。そこで、松屋は高級ブランド「ブルガリ」のレストランが手がける40万円のおせちを10セット限定で用意した。
◆持続可能性テーマに代替肉も
中心価格帯が2万~3万円台のおせちも約200種を用意。持続可能性をテーマに、コロナ禍で行き場を失ったという本マグロや、代替肉として使われるひよこ豆などを使ったソーセージづくしの商品も投入した。
小田急百貨店(新宿区)は、年始だけでなく年末向けの需要にも着目。各名店が手がける鍋やすき焼き、すし、カニなどを充実させている。
松屋銀座のアンケートでは、おせちの予算を「(前年比で)増やす」が2割超、「同じ」が7割超だった。おせち商戦はコロナ前を超えて盛り上がりそうだ。
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