
日本酒ファンの裾野を広げるため、蔵人の取り組みは酒造りにとどまらず、多岐にわたっている。
ジェラートに焼き菓子、せっけん、消毒液――。「宮寒梅」を造る寒梅酒造(大崎市)の試飲・販売スペースには、様々な商品が並ぶ。
今月2日、新潟県から旅行で来た若い夫婦が酒蔵を訪れた。日本酒を買い求めようと夫が蔵人から日本酒の説明を受ける傍らで、妻はすき焼き万能たれを手に取る。「こんなのもあるんだ」と売り場を見て回る。
酒蔵に足を運ぶ人の8、9割は日本酒が目当て。それでも酒かすを使ったジェラートは、テレビドラマで使われたこともあって人気を博している。「子どもや女性に親しみやすい商品を意識した。手にとってもらえるだけでもまずまず。謎に包まれた酒蔵を気軽に楽しんでもらえる場所にしたい」。蔵元5代目の岩崎真奈さん(37)は話す。
この2、3年で他業種との連携を深め、商品のラインアップを一気に増やした。昨年には純米吟醸酒を使って、みそ・しょうゆの今野醸造(加美町)とコラボしたすき焼き万能たれを開発した。「日本酒から距離が遠い人が身近に感じられる商品を提供したい。ゴールはもちろん、日本酒を飲んでもらうこと」と話す。
1918年創業の歴史ある酒蔵だが、大学を卒業した岩崎さんが加わった2007年当時は深刻な経営難に陥っていた。売り上げは現在の5分の1程度。売れ残りの酒が積まれていた。東日本大震災では蔵の壁が崩れて全壊した。
岩崎さんは
経営を立て直し、日本酒を飲んでもらうための試行錯誤は続く。蔵見学やSNSでの発信といった取り組みも取り入れた。「時間はかかるが、酒屋さんに『宮寒梅はないか』と来てくれるようになった」と、じわじわと効果を感じている。
日本酒そのものにも、さらに磨きをかける。今月から商品開発の取り組みを新たに始め、低アルコールの商品を誕生させた。
「森乃菊川」を造る森民酒造本家(仙台市若林区)は6月上旬、酒蔵内に甘酒カフェ「森民茶房」のオープンを予定している。仙台駅から徒歩15分の好立地を生かし、幅広い層に日本酒を知ってもらおうという仕掛けだ。
1849年の創業以来、仙台市中心部の数少ない酒蔵として伝統的な酒造りを行ってきた。老朽化に伴い、仕込み蔵などの大規模改修を行って新銘柄「森民」を開発して今年3月に再出発した。伝統文化を次世代につないでいこうと、合わせてカフェの開設も決めた。
米こうじで作った甘酒と、甘酒を使った料理やケーキなどを提供する。森徳英社長(51)は「立地的にもここは日本一身近な酒蔵になれる場所。間口を広く、そして低く、日本酒を知る入り口になれば」と考えている。
ファン拡大狙い商品開発 老舗酒蔵甘酒カフェ開設へ - 読売新聞オンライン
Read More
No comments:
Post a Comment