ペット関連の市場が活気を帯びている。飼育頭数は少しずつ減ってきているものの、家族の一員として1頭あたりにかけるお金は増加。ペットを対象にしたビジネスは、旅行や手入れなどに使う家電と、多様化している。(並木智子)
◆散歩後に汚れを払える機能付き「ドライルーム」
ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2022年のイヌの飼育頭数は705万3000頭で、5年前から約8%減少。ネコは883万7000頭でほぼ横ばいだった。一方で飼育にかかる経費は、イヌが1頭当たり月1万3904円と5年前と比べて45%増加。ネコも同7286円と26%増えた。フード(主食やおやつ)や医療費などが増加しているためという。
コロナ禍を経て、飼い主がテレワークなど家で過ごす時間が増えたことで、住環境を充実させる商品も人気だ。ペット関連商品を手掛ける「Haru」は2021年からペット用のドライルーム(幅約45センチ、奥行き約68センチ、高さ約52センチ)を販売。自宅で体を洗ったあとに乾かすだけでなく、散歩後に室内に入る前に毛についた汚れや花粉を落とす機能を搭載した。1台10万7800円だが、月600〜700台を売り上げるなど好調という。
矢野経済研究所によると、23年度のペット関連の総市場規模は1兆7977億円に上ると予測。24年度にはさらに2.2%増加すると見込む。同研究所の徳永優研究員は、ペットの飼育頭数の増加は今後も見込みづらいとしながらも、家族の一員として親密な関係性を築くなどコンパニオンアニマル(伴侶動物)化が進んでいると指摘。「市場は付加価値の高い製品や(医療など)ペット向けサービスの拡充や裾野の広がりなどで、緩やかに成長する」とみている。
◆バスツアーに一緒に参加OK
ペット市場が拡大する中、ペットを対象にした新たなサービスや商品の開発に乗り出す企業も相次ぐ。
「わんちゃん専用のバスはこれまでなかった。利用者の満足度は高く、何度も参加してくれる人もいる」
2021年から新たな事業としてペットと参加できるツアーの提供を始めた東京都葛飾区の観光バス会社「B・I・G」の萩原正規社長(59)はそう話す。
同社はコロナ禍で一般の観光ツアーが激減する中、ペットに着目し「ペットツーリズム」に乗り出した。参入に伴い1席のスペースを広くし、通路との間に仕切りを付けるなど大型バス2台を改装。箱根などの日帰りツアーを提供しており好評を得ている。最近では利用者から犬種ごとのツアーの要望もあるという。
さらに、住友不動産ヴィラフォンテーヌが昨年2月にオープンした愛犬連れ向けのホテル「inumo芝公園」(東京都港区)ともツアーを組むなど連携。同ホテルでは、全席室内のレストランで愛犬と食事ができ、屋内ドッグランも整備されており、首都圏の利用者が多いという。
ペットのけがや病気に備える保険も需要が高まりつつある。アニコム損害保険では、人と同じように病院窓口で保険証を提示すれば自己負担分のみの精算が可能。昨年からはカードタイプの保険証に加え、スマートフォン上で表示できる電子版保険証のサービスも始めた。担当者は「国内のペット保険の普及率はまだ低いが、家族の一員として捉える人が増えている」と述べ、加入率の伸びが見込まれている。
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