
SMBC日興証券の社員らが特定銘柄の株価維持のため、不正な株取引を繰り返した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(相場操縦)の容疑で同社に強制調査に入ったことが分かった。
証取委が大手証券に対し、株価操縦の疑いで強制調査に踏み切るのは異例だ。大手証券が株式市場の公平性を歪(ゆが)めるような不正行為に手を染めたのであれば、市場の信頼を失墜させる重大問題である。
証取委は不正行為の解明に全力を挙げ、違法な取引には厳正に対応すべきだ。日興側も調査に全面協力するのは当然である。金融庁も東京証券取引所などと連携し、改めて株価操縦などの不正の監視や防止にあたってほしい。
証取委では日興社員らが昨年、特定銘柄の大株主から立会時間外での売買仲介を依頼され、その銘柄の株価維持を目的に市場で売買を繰り返し、不正に株価を維持した疑いがあるとみている。
この社員は通常の取引だとして違法性を否定しているという。だが、金商法では株価維持などの不正行為には10年以下の懲役など重い罰則を科している。証取委は取引実態などを詳細に調べ、違法な取引が判明した場合には厳しく摘発する必要がある。
証取委はこれまでも、短期で売買を繰り返すデイトレーダーらの株価操縦を摘発してきた。ただ、市場の公平性を担う役割もある証券会社自らが、同容疑で調査対象になるのは異例だ。市場の公平性に対する信頼が揺らげば、株価にも悪影響を与える。
すでに大手証券ではインサイダー取引を含め、違法性のある株式売買を自動的に検知するシステムを導入するなど、不正防止に力を入れている。それだけに今回の証取委による調査を業界全体で厳しく受け止め、不正防止に万全を期してもらいたい。
バブル経済期に相次いで発生した証券不祥事を受けて発足した証取委は、「市場の番人」と呼ばれる。主にインサイダー取引や粉飾決算などの金融市場犯罪を摘発してきたが、ここに来て摘発件数は減少傾向にある。
とくに最近ではSNSを通じた株価情報などがあふれており、インサイダー取引などの摘発も難しさを増している。市場の公平性を確保するため、証取委の人員増など摘発体制の強化も必要だ。
【主張】日興に強制調査 市場歪める不正許されぬ - 産経ニュース
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